【初心者向け】チェーン・オブ・ソート(CoT)とは?AIの精度を高める仕組み・使い方をわかりやすく解説

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チェーン・オブ・ソート(CoT)とは?AIに「考える順番」を教える手法

チェーン・オブ・ソート(Chain of Thought、CoT)とは、AIが複雑な問題に取り組む際に、最終的な答えだけを出すのではなく、答えに至るまでの中間的な思考のステップを順番に書き出させる手法のことです。人間が難しい問題を解くときに、頭の中で手順を考えたり、紙に書き出したりするのと同じようなことをAIにさせるイメージです。

この手法はプロンプトエンジニアリングという、AIへの指示を工夫する技術の一つです。AIに対して「ステップバイステップで考えて」といった指示を与えることで、AIは思考のプロセスを文章として生成し、それに基づいて最終的な結論を導き出します。これにより、特に算数問題や論理的な思考が求められる複雑なタスクにおいて、AIの回答の精度を向上させることが期待できます。

なぜCoTが重要?AIの回答精度が向上する3つのメリット

チェーン・オブ・ソート(CoT)は、単にAIの性能を少し上げるためのテクニックではありません。AIの「考え方」を根本的に変え、より人間に近い思考プロセスを実現するための重要なアプローチです。CoTを活用することで、私たちはAIから、より正確で信頼できる回答を引き出せるようになります。

具体的には、CoTには大きく分けて3つのメリットがあります。これから、それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。

メリット1:複雑な問題も正確に解けるようになる

チェーン・オブ・ソート(CoT)の最大のメリットは、複雑な問題に対するAIの正解率が向上する点です。特に、算数の文章問題や論理的な推論など、複数のステップを踏む必要がある問題でその効果を発揮します。

従来のAIは、複雑な問題に対して結論だけを急いで出そうとして、途中の計算や論理展開で間違いを犯すことがありました。しかし、CoTを使って「考える手順」を一つずつ文章化させることで、AIは情報を整理し、段階的に結論へと向かうことができます。これにより、途中の間違いに気づきやすくなり、最終的な回答の精度が劇的に向上するのです。

メリット2:AIの思考プロセスが透明になり、信頼性が高まる

AIの回答は時として「どこからその答えが出てきたのか分からない」というブラックボックス問題が指摘されることがあります。しかし、チェーン・オブ・ソート(CoT)を使えば、AIがどのような手順でその結論に至ったのかが明確になります。

AIが最終的な答えと一緒にその思考プロセスも示してくれるため、私たちはその回答が論理的に正しいかどうかを検証できます。もし途中で間違いがあったとしても、どこで間違えたのかを特定し、修正を促すことが簡単になります。このようにAIの思考が「見える化」されることで、私たちはAIの回答をより信頼できるようになるのです。

メリット3:数学の計算からビジネス提案まで幅広く応用できる

チェーン・オブ・ソート(CoT)の応用範囲は非常に広く、専門的な分野から日常的なタスクまで様々な場面で活用できます。この手法は、問題を論理的なステップに分解できるあらゆるタスクで有効です。

具体的な応用例としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 数学・科学の問題解決:複雑な計算や証明を段階的に行います。
  • ビジネス戦略の立案:市場分析から具体的なアクションプランまでを論理的に構築します。
  • コンテンツ作成と要約:文章の構成を考え、一貫性のあるコンテンツを作成したり、長文の要点を段階的に抽出して要約したりします。
  • カスタマーサポート:顧客からの問い合わせ内容を分解し、的確な回答を導き出します。

CoTの仕組みと主な種類

チェーン・オブ・ソート(CoT)の仕組みや、AIに思考を促す方法にはいくつかの種類があります。AIがどのようにしてステップバイステップで考えるようになるのか、その基本的な仕組みを理解することで、より効果的にCoTを使いこなせるようになります。

また、CoTには主に「ゼロショットCoT」と「フューショットCoT」という2つの代表的な種類が存在します。それぞれの特徴と使い分けを知ることで、状況に応じた最適な指示をAIに与えられるようになります。

CoTの仕組み:AIはどのようにステップバイステップで考えるのか

チェーン・オブ・ソート(CoT)の仕組みは、AI、特に大規模言語モデル(LLM)の基本的な動作原理に基づいています。LLMは、与えられたテキストの次に来る最も可能性の高い単語を予測し、文章を生成していくのが得意です。

CoTでは、プロンプト(指示文)によって、最終的な答えの前に「思考のプロセス」を文章として生成するようにAIを誘導します。例えば、「ステップバイステップで考えて」と指示すると、AIはまず問題解決の手順を示す単語や文章を生成し始め、その生成された思考プロセスを文脈として利用しながら、次のステップ、そして最終的な答えへと進んでいきます。このように、意図的に中間ステップを生成させることで、複雑な問題でも分解して考えさせ、結果的に正しい答えにたどり着きやすくするのです。

ゼロショットCoT:お手本(例)なしで思考を促す方法

ゼロショットCoTは、AIに思考のお手本(例)を一切見せずに、AI自身の力だけで思考プロセスを生成させる、最もシンプルな方法です。この手法は、プロンプトに特定の「魔法の言葉」を追加するだけで機能します。

代表的なフレーズは「ステップバイステップで考えてください(Let’s think step by step)」です。この一文を質問の後に加えるだけで、AIはまず問題解決の手順を考え、その後に結論を出すという思考モードに切り替わります。事前の準備が不要で非常に手軽なため、CoTを試す際の最初のステップとして最適です。

フューショットCoT:お手本を示してAIの思考をガイドする

フューショットCoTは、ゼロショットCoTとは対照的に、AIに対して具体的な「お手本」をいくつか提示する方法です。プロンプトの中に、質問、思考プロセス、そして最終的な回答のセットを例として含めることで、AIにどのように考えてほしいかを具体的に教えます。

この手法は、AIが解くべき問題の形式や、思考プロセスの深さを細かくコントロールしたい場合に特に有効です。例えば、特定の形式で回答してほしい場合や、より複雑な推論が求められるタスクで高い性能を発揮することが報告されています。ただし、質の高いお手本を準備する手間がかかるという側面もあります。

【実践編】ChatGPTでのCoTプロンプト例文とコツ

チェーン・オブ・ソート(CoT)の理論がわかったところで、次はいよいよ実践です。ここでは、多くの人が利用しているChatGPTを例に、CoTを効果的に使うための具体的なプロンプトの書き方とコツをご紹介します。

難しいテクニックは不要です。基本的には、いつもの質問に「ある一言」を加えるだけで、ChatGPTの回答の質を大きく向上させることができます。応用編として、ビジネスシーンで役立つプロンプト例も見ていきましょう。

基本のコツ:「ステップバイステップで考えて」と加えるだけ

ChatGPTでチェーン・オブ・ソートを最も手軽に実践する方法は、ゼロショットCoTを使うことです。具体的には、あなたの質問の最後に「ステップバイステップで考えてください。」という一文を追加するだけです。

例えば、少し複雑な計算問題をお願いしてみましょう。

【プロンプト例】
リンゴが5箱あり、1箱には12個のリンゴが入っています。そこから8個のリンゴを食べました。残りのリンゴを4人で同じ数だけ分けると、一人何個ずつになりますか?
ステップバイステップで考えてください。

このように指示することで、ChatGPTはまず全体のリンゴの数を計算し、次に食べた後の残りを計算し、最後にそれを4人で分ける、という思考の過程を文章にしながら最終的な答えを導き出してくれます。

応用編:ビジネスメール作成のプロンプト例

チェーン・オブ・ソートは、計算問題だけでなく、文章作成のような複雑なタスクにも応用できます。例えば、複数の要件を盛り込む必要があるビジネスメールの作成に非常に役立ちます。

【プロンプト例】
来週の火曜日に予定している山田さんとの定例会議ですが、急な出張のため、日程の再調整をお願いするメールを作成したいです。以下の要件をすべて含めて、丁寧なビジネスメールを作成してください。

# 要件
1. まず会議をキャンセルすることへのお詫びを伝える。
2. 日程変更の理由(急な出張)を簡潔に説明する。
3. 代替候補日として、来週の木曜日の午前10時、または金曜日の午後2時を提案する。
4. 山田さんのご都合が悪い場合は、再度調整させていただきたい旨を伝える。

# 指示
上記の要件を基に、メールの構成をステップバイステップで考えてから、最終的なメール本文を作成してください。

このように、メールに含めるべき要素をリストアップし、CoTを促す指示を与えることで、AIは構成を論理的に組み立て、要件の漏れがない質の高いビジネスメールを作成してくれます。

CoTを使う上での注意点と限界

チェーン・オブ・ソート(CoT)は非常に強力な手法ですが、万能ではありません。効果を最大限に引き出すためには、その注意点や限界も理解しておくことが重要です。

CoTを使っても必ずしも常に正しい答えが導き出されるわけではなく、場合によっては逆効果になる可能性もあります。どのような点に気を付けるべきか、具体的に見ていきましょう。

まとめ

本記事では、AIの回答精度を向上させる「チェーン・オブ・ソート(CoT)」について、その仕組みから実践的な使い方、注意点までを解説しました。

CoTは、AIに答えだけでなく「考えるプロセス」を順序立てて生成させることで、複雑な問題解決能力を高める画期的な手法です。思考の過程が可視化されるため、回答の信頼性も向上します。

「ステップバイステップで考えて」という簡単な一言を加えるだけで、誰でも今日からCoTを試すことができます。AIとの対話をより高度で実りあるものにするために、ぜひチェーン・オブ・ソートを活用してみてください。

チェーン・オブ・ソート(CoT)に関するよくある質問(FAQ)

ここでは、チェーン・オブ・ソート(CoT)に関して初心者の方が抱きやすい疑問とその回答をまとめました。

CoTはどのようなAIモデルで効果がありますか?

チェーン・オブ・ソート(CoT)は、特に大規模言語モデル(LLM)で高い効果を発揮することが知られています。具体的には、GoogleのPaLMやLaMDA、OpenAIのGPT-3.5やGPT-4といった、非常に多くのパラメータを持つ高性能なモデルでその有効性が確認されています。

一方で、パラメータ数が少ない小規模なモデルでは、CoTを促しても性能が向上しない、あるいは逆に低下してしまう場合があるため注意が必要です。基本的には、現在主流となっている高性能な生成AIサービスで効果が期待できると考えてよいでしょう。

CoTを使っても精度が上がらない場合はどうすればいいですか?

CoTを試しても期待したような結果が得られない場合、いくつか試せる改善策があります。

  • プロンプトの表現を変える:「ステップバイステップで」を「論理的な手順で」「段階的に」など、別の表現に変えてみましょう。
  • より具体的に指示する:どのような思考ステップを踏んでほしいのか、手順をより細かく指示することで改善する場合があります。
  • フューショットCoTを試す:ゼロショットCoTでうまくいかない場合、具体的な思考のお手本をいくつか示すフューショットCoTに切り替えることで、精度が向上する可能性があります。
  • モデルの限界を考慮する:そもそも問題がAIモデルの能力を超えている可能性もあります。より高性能なモデルで試してみるのも一つの手です。

CoT以外にAIの精度を上げる方法はありますか?

はい、チェーン・オブ・ソート(CoT)はAIの精度を上げるためのプロンプトエンジニアリング技術の一つですが、他にも様々な手法が存在します。

代表的なものには以下のようなテクニックがあります。

  • フューショット・プロンプティング:CoTのように思考プロセスは含めず、単に質問と回答の例をいくつか提示する手法です。
  • 役割設定プロンプト:「あなたはプロの編集者です」のようにAIに役割を与えることで、その役割に沿った質の高い回答を生成させます。
  • Self-Consistency:同じ質問に対して複数の異なる思考プロセスで回答を生成させ、最も多数派だった答えを採用することで正解率を上げる手法です。
  • ReAct:推論(Reason)と行動(Action)を組み合わせ、AIが必要な情報を自ら調べてから回答を生成する、より高度な手法です。

これらの手法をタスクに応じて使い分けることで、AIの能力をさらに引き出すことができます。

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